― 税金の使い方の議論はどこにいっているのか? ―

有権者の感覚と国会の状況

開会まもない通常国会、序盤は新年度予算の審議が中心となります。そしてわが国の予算審議では、いつもお定まりの事情のもとにお定まりの光景が繰り返されます。

 

お定まりその①・・・スキャンダラスな不祥事・未詳事が次々と出現し、その追及に時間が費やされます。わが国の予算委員会は国政のあらゆる重要事項を扱えることとなっており、いつもそのネタには事欠きません。

 

お定まりその②・・・ネタが多いおかげで、本来の予算の具体的な中身に関する是非の議論にはほとんど時間が割かれません。問題がなければそれでもいいかもしれません。しかし、1000兆円超というべらぼうな借金を抱え、それをなお増やし続けるこの国の予算に問題がないとはとても思えません。

 

お定まりその③・・・問題がないとはとても思えない政府原案が、結局は全く修正なしで可決成立します。今回は毎勤統計の誤りによる急遽の組み換えという未曽有(みぞう)の事態がありましたが、これも、「政府原案は無謬たるべし」というお定まりを維持させるためには不可欠の対処だったのでしょう。

 

毎日の生活で、お金を大事大事に使う大半の有権者の感覚からは遊離した状況と言わざるを得ません。そして、これら一連の「お定まり」に対する報道も、いつもお定まりとなりますから、有権者にしてみれば、どんどん国会での出来事が他人事になっていきます。

今回の統計の問題自体は、重大かつ深刻なものであることは間違いありません。だからこそ、予算委員会の限られた期間の審議だけでどうこうできるものとは思えませんが、どうなのでしょうか。別途の枠組みを設営して、徹底的な真実の究明と、防止に向けた根本的な改革案策定を進めるべきではないのでしょうか。そのような対応が当たり前となるような国会改革を願うものです。

 

 

☆軽減税率?ポイント制?~将来世代の行く末に…

有権者の意識と国会審議の状況が遊離の度を高めていくなかで、その傾向がひときわ高いのは、若い人たちでしょう。お定まりの報道ですら目にすることもあまりないでしょうし、国家予算など、どうせお上が決めるものとしかみられていないのではありませんか?

10月に予定されている消費増税にあわせて導入されるという軽減税率制度や、需要減対策という触れ込みで実施されようとしているポイント制等は、間違いなく若い世代の将来に負の影響を与えていきます。結果として金持ち優遇となり、また将来世代から財源を奪うこととなるであろうこれら天下の愚策が、お定まりの国会運営で決定されようとしています。