― よくある疑問にお答えします ―その②

☆大きな違いが目立たずに小さな違いが目立たせられる

 連合はときどき「原発推進派」のレッテルを貼られます。全くの誤りです。連合はあの東日本大震災福島第一原子力発電所の事故という事態を受けて、およそ半年間の大議論の末に、「最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざしていく」ことを組織全体の政策として確認しています。一部のメディアや政治家は「電力総連をはじめとした関連産業の労組を抱える連合は原発推進派」という決めつけを好んで行うようですが、まったくもっておかしな話です。そういう決めつけには、一種の分断を図りたいという意図があるのではないかという疑念さえ持たざるを得ません。

 加えて、野党の間の小さな違いが好んで取り上げられます。そのため、政府の原子力継続政策との間の大きな違いは埋没します。野党のバラバラ感だけが目立つのです。喜ぶのは政権与党です。

  

☆無責任な対応は将来世代に禍根を残す

 無責任な対応は将来世代に禍根を残すという意味では、これも、社会保障を支える負担の構造の問題と似ています。どうすればわが国のエネルギーを将来にわたって確保し、国民の生活を守り、産業の発展を確保できるのかという、そのグランドデザインが不明なままです。

 政府与党は原子力エネルギーを使い続けると言っているのですが、発電所の新増設は明示していません。一方の野党の側には、原発ゼロに向けた具体的な工程表と足もとの対策の確立を求めたいと思います。霞ヶ関の官僚の皆さんが、政策立案に必要な情報を提供することも不可欠です。

 「原発ゼロ」と叫ぶことによって、「リスクゼロ」を即時に確保できるという錯覚は、一定の範囲の有権者には与えられるかもしれません。しかし、それはあまりにも無責任な所業です。停止中の発電所にも燃料棒は保管されたままであり、稼働しているいないに関わらずリスクは共通です。圧倒的に多くの国民は、将来に向けた処方箋が示されていないこと自体に不安を抱え続けているのです。

  

☆「民主」が消える危機

 いわば私たちが持ち続けている考え方は、かつての「民主党」の持っていた政策・理念そのものであるといっても過言ではありません。原子力エネルギーについても、そもそも当時の民主党政権があれだけの苦労を重ねながら、そして侃々諤々の議論を経ながら一つにまとめた政策を、正面から受け止めてきたつもりです。

 いくら安倍総理が「悪夢」と言おうとも、いやむしろ言えば言うほど、旧民主党の方々は自信をもって自分たちの信念を貫いてもらいたいと思いますし、そこに余計なバラバラ感をはさみこまないでもらいたいと思うのです。

 ここ当面の政治状況は、「民主」が消える危機すらはらんでいると思います。