― やっぱりか…自説を修正できないマスコミ報道 ―

☆デフレ下の春闘では初めての現象

4月5日金曜日夕刻、連合本部で今春闘の第三回集計内容(4月3日時点)が発表されました。

いつもこの時期、期待と懸念が交錯する回答集計なのですが、今回二つあった懸念は、一つは杞憂に終わり、一つはやっぱりか、という結果になりました。

杞憂に終わったのは回答集計そのものの結果です。今回、デフレ下の春闘として明確な賃上げを継続している2014年以降では初めての現象、初めての成果を、下記のような形で手にすることができたのです。

  1. 第三回集計の賃上げ幅が第二回集計のそれを上回った。(通常、後続の賃上げ幅は低下する傾向にあった)
  2. 300人未満規模の賃上げ幅がこの間で過去最高となった。(消費増税翌年の2015年水準をも上回った)
  3. 100人未満規模の賃上げが、それ以上の規模のところの結果を率・金額ともに上回った。(つまり、100人未満の小さな規模の労組の賃上げ幅が全体のトップに躍り出たということ) 

私たちが方針で掲げた様々な打ち出しが、組織のなかでは着実に浸透してきたことのあらわれだと思います。

 

☆デフレ下の春闘では初めての現象

もう一つの「やっぱりか」は、報道の状況です。思い起こせば3月13日段階で出された集中回答日前後の報道は、「縮むベア」や「前年割れ続出」といったマイナスイメージの大見出しが踊っていましたから、もともと、この印象をくつがえすのは容易ではないと思っていました。

しかし、明らかに当初まき散らされた印象と、その後の実際の傾向は異なっているのです。3月15日の第一回目集計では昨年とはイーブン、3月22日二回目集計ではやや遅れを取りましたが、三回目は前年を凌駕。そして、特筆すべきは小規模労組の健闘なのです。

やはり、どうしても従来から報道対象が一部に偏るという春闘報道そのものの問題と、編集と見出しをつける人の固定的なスタンスという呪縛から抜け出せないのでしょう。前述の特筆すべき内容を伝えたのはほんの数えるほど、それもいわゆるベタ記事で申し訳程度のものです(報道しないよりははるかにマシですが)。

マスコミは、いったんこさえた自説は修正できないものと、私たちは思っておかねばならないのでしょうか? 

 

☆労組のあるなしで差が拡大する恐れ

春闘報道の持つこのような性格は、結果として、わが国の格差拡大を助長する結果を生み出しているとは言えないでしょうか?

私たちは、連合の組織のなかで今回の集計結果を拡げていきますから、後続部隊は力を得て交渉に活かしていくことができます。しかし、そのような情報ルートを持たない人たち、圧倒的多数の労働組合を持たない人たちは、置き去りになったままです。情報化社会という言葉自体が古臭くなったとさえ言えるような今日ですし、欲しい情報はいつでもどこでも得られるのでしょうが、人々が実際に手にしている情報は、実は世の中全体のなかでの偏った一握りのものでしかありません。 

 

☆PRの模索は続く

言うまでもないことですが、賃上げの成果獲得が連合のなかだけでおさまっているのでは意味をなしません。日本全体に拡がらなければ、本来の「春闘」とはなりません。

かつてインフレ前提の環境条件においては、物価上昇が目の前にありましたから、労組のない企業の経営者も、たいがいは賃上げを実施しました。しかし、今は物価上昇というわかりやすい根拠が希薄です。だからこそ情報が有用であり、そして報道が重要なのです。

もちろん、私たち自身も手を拱いているだけではダメです。報道に対してブツブツ文句を言うだけでは解決につながりません。ホームページで公表をし、SNSで拡散に努めています。

しかしまだまだです。PRのノウハウ模索は途半ばです。近々PRの大家に指南を仰ぐこととしています。